菊水の井は、能楽「菊慈童」の「菊の露のしたたりを呑んで七百歳の長寿を保った」という故事に因んでいます。千利休の師、武野紹鴎は名水「菊水の井」を愛し、この地に大黒庵という庵を結びました。平成15年まではここに金剛能楽堂があり井戸も残されていましたが、能楽堂の移転にともない今は石碑のみとなっています。
祇園祭の菊水鉾もこの井戸から名付けられました。こちらの鉾会所で毎年7月13日から16日までお茶会が催されており、「祇園祭にちなんだお菓子を」ということで、亀廣永さんにより「菊水の井」の清涼なしずくをイメージした「 したたり」 が作られました。
「したたり」は、腰の強い丹波の寒天、沖縄波照間島産の黒砂糖、阿波産の最高級和三盆、上質のざらめなど選び抜いた素材と、京都の地下水を使って作られた琥珀色の寒天です。宵山の頃には一日に約七千人分を作るそうですが、すべて手作りでつくり置きはできないそうです。
後味がさっぱりして上品な味わいで、暑い時でもつるっと食べられる夏のお菓子です。
京のうまいもん | 09:00 AM | comments (x) | trackback (x)